【メディカルドクターの働き方】外資系製薬企業と国内製薬企業の違い

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メディカルドクターの働き方は外資系と国内製薬企業で異なる?

MDは製薬会社での勤務となりますが、製薬会社には大きく外資系企業と国内製薬企業の2種類に分類されます。本社が国内にあるか海外にあるかにより、MDの海外出張の有無、その回数、英語を使う機会の有無、研究開発の規模などに大きな差が生じるのです。

このページでは外資系製薬企業と国内製薬企業との差をまとめています。

外資系では海外出張の必要などがあるため英語の能力がより求められる

外資系製薬会社は本社がスイス・アメリカ・イギリス・フランスなど世界各国にありますが、特に多いのがアメリカです。本社がアメリカにあるとなれば、当然ですが本社への海外出張やネットを使った会議、メールや電話での情報交換・意見交換などの機会が多くなります。

アメリカは英語が公用語ですので、英語が話せないと本社スタッフとの打ち合わせや研修に参加出来ません。英語の理解出来ないMDが本社にやって来たとなると、通訳を介しての研修や打ち合わせとなり非常に長い時間が掛かります。外資系の製薬会社に勤務したいのであれば、英語の能力は必須。言葉が通じないようではお話になりません。

また国内製薬会社だからと言って「英語が話せなくてもOK」ではありません。提携している製薬会社が外資系だったり、海外の文献を読んで品質管理に生かすなどする機会もあり、製薬会社に勤務するのであれば英語が話せる方が絶対的に有利です。

ただ国内製薬企業の場合は外資ほど海外出張はなく、上司や同僚が外国人スタッフ、日常的に外国とメールや電話で連絡を取るような事はあまりありません。国内メインで仕事がしたいなら国内に本社を置く製薬会社を選ぶ方が無難です。

グローバルな情報交流の機会が多い

外資系企業の場合本社がアメリカやスイスにあったとしても、アジアやヨーロッパ、北米、南米、オセアニア、中東エリアなど世界各地に支社を展開しており、世界各地の方々と英語を社内公用語として交流する機会が多くあります。

新薬の開発は日本だけでなく、世界各地のスタッフと足並みを揃えて進める必要があり、ここで「韓国人は苦手/アメリカ人は嫌い」などの個人的感情を全面に出して対応してしまうとトラブルの元になります。

外国人だからと偏見をもったり、苦手意識なくスムーズに意見交換が出来る医師、コミュニケート出来る医師が求められます。外資の場合は海外出張も多く、よりグローバルな視点で仕事が出来るため、海外に行くのが好きで英語の堪能な医師にとってはうってつけ。

この点、国内製薬会社は世界各地にいるスタッフと連絡を取り合い業務を進めるような事はあまりありません。

研究開発にかける予算が多く大きな仕事ができる

外資系製薬会社で世界最大規模の売り上げを誇るのはスイスにあるロシュ。アメリカのファイザーは世界2位の売り上げとなっています。ロシュの売り上げは約6兆円超え、ファイザーは約5兆円超えと想像を絶するレベル。国内最大規模の売り上げを誇る武田薬品工業は約1兆7千億円と、世界トップとの差はかなりあります。

また研究開発に投じる予算にも大きな隔たりが。1位はスイスのロシュで研究開発費は年間約1兆3千万円と武田薬品工業の売り上げ並み。2位はアメリカのメルクで約1兆1千万円とこちらも巨額の研究開発費を投じており、スケールがまるで違います。

武田薬品工業は年間の研究開発費が約3千万円ちょっと。アステラス製薬は2千万円なので、外資系製薬会社の研究開発規模がどれだけ大きいかが分かります。

当然ですが、これだけの研究開発費を投じる外資系製薬会社の方が、よりスケールの大きな仕事が出来ると言っても決して過言ではありません。もし世界規模の研究開発やより大きなスケールの仕事に携わりたいなら、断然外資系製薬会社でしょう。世界規模で新薬開発に携われるのですから遣り甲斐も違います。

外資系の方が求められるスキル・仕事の規模が大きい

外資系製薬会社の方が、高い英語力やコミュニケーションスキルが求められ難易度が上がります。ただしその分「世界を股にかけて活躍している」と言う満足感も得られやすく、また国内製薬会社よりも大きなプロジェクトに関わる事が出来、当然ですが達成感や充足感も大きくなります。

もし英語力と臨床経験に自信があり、軽いフットワークで世界各地を飛び回る体力や気力のある医師であれば外資系製薬会社がお薦めです。逆に海外ではなく国内の医療事情に興味があり、国内をメインに新薬開発を望む医師なら国内製薬会社のMDが最も適しています。全体的に言えば外資系製薬会社の方がより高いスキルが求められると言えそうです。

ただ英語力は国内製薬会社でも重視されるため、「まるっきり英語が分からない医師」では、昨今のグローバル時代、例え国内企業でも採用が難しくなる可能性も。本気でMDを目指すのであれば、国内企業/外資の別なく、英語力やコミュニケーション力、リーダーシップなどの点を磨く必要がありそうです。