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メディカルドクターの需要は今後どうなる?
MDは現在日本国内に約300名いると言われています。2016年の日本全国の届出医師数は319,480名ですから、MDは全体から見ると非常に少ない事がお分かり頂けると思います。
MDの存在はまだ国内では広く認知されていない状態ですが、今後需要が伸びると言われているのです。ではMDの欧米での立ち位置や今後の需要について見ていきましょう。
欧米では臨床医に負けないほどステータスがある職種
日本では約300名しかいないMDですが、ファイザーやメルク、イーライリリーなど大手製薬会社が多数ひしめくアメリカではMDの数は約1,100名、またドイツでは約1,300名のMDが活躍していると言われています。日本の約4倍の数のMDが欧米では活躍しているのです。
製薬会社にMDを配置する制度はもともと欧米から始まっており、欧米でのMDの社会的立場は臨床医並みに高く認知もされています。臨床医に負けない程のステータスがある事から、欧米では臨床医が製薬会社に就職するのがスムーズです。
また、製薬会社で長く働いたMDが大学に進学、また大学教授がMDに転職するなど優秀な人材が医療機関から製薬会社、製薬会社から大学へと自由に行き来しています。日本では考えられない事です。
製薬会社の一社員が大学に進学出来るという事は、MDに相当に高いステータスがあると認識されている証拠。欧米では製薬会社にMDを置くのが一般的なため、外資系製薬会社は日本法人でもMDを配置するようになり、これが日本人医師をMDとして採用するきっかけとなりました。
これから需要は増加し、医師の転職先の一つとしてメジャーになる見込み
外資系の製薬会社から始まった日本人医師のMD採用ですが、今では内資製薬会社でも積極的に採用され始めています。一昔前はMDと聞いても「一体何の事だか分からない」医師も少なくありませんでしたが、今は大手製薬会社が定期的にMDの求人を公開しており、以前に比べると認知され始めています。
今後は内資製薬会社でもさらに積極的なMD採用が見込まれます。その理由については以下のようになります。
- 内資製薬会社も今後は国内だけではなく、世界規模での臨床開発に対応出来る力が求められている
- 医学的な立場から自社医薬品の安全性や価値向上が求められているため、MDの存在がクローズアップされている
最近、製薬会社に新設されている「メディカルアフェアーズ」と呼ばれる部門では、MDが現場の臨床医と製薬会社との橋渡し役となり活躍されています。実際に医薬品を患者に処方するのは臨床医であるため、医学の知識がないMRでは医学的見地に基づいた説明を行う事が出来ません。
そこで長年の臨床経験を持つMDが、臨床医に対して医学的見地から自社医薬品の安全性やエビデンスなどを説明し製品のPRを行うなどの業務を担当しています。同じ医師の立場であれば臨床医も説明に納得してもらいやすく、製薬会社にとっても自社医薬品を効果的に売り込めるとあって注目されているのです。
このように外資系製薬会社はもちろん、内資製薬会社でも注目されているMD。今後も需要は拡大し、医師の転職先の一つとしてメジャーになる見込みは十分です。