どのような仕事?メディカルドクターの仕事内容と3つの部門

目次

メディカルドクターの仕事内容

医師がMDとして製薬関連企業で働くとなると「新薬開発に関わる治験分野のみの関与」と考えがちですが、意外にも新薬が発売された後の安全性やリスク管理、医療機関への営業活動など幅広い業務に携わっています。

このページではMDの仕事内容についてまとめていますので、是非参考にしてください。

主な3つの部門

MDが関わる業務には、以下の「診療開発部」「安全性情報部」「メディカルアフェアーズ」の3つの部門がメインとなっています。
ここでは医師転職サイトで製薬会社の求人を探す前の参考として、それぞれの業務内容についてご説明させて頂きます。

臨床開発部

MDの大きな業務の一つに臨床開発があります。新薬が世に出るまで研究の段階から治験まで、10年以上の年月が掛かる事は決して珍しくありません。開発費用も数十億円~数百億円と大きな金額が必要です。

大きなプロジェクトになればなるほど臨床開発の役割も大きくなります。新薬が世に出るか出ないかは、臨床開発の成功に掛かっているからです。MDは主に以下のような業務に関わり、新薬開発のために大きな役割を果たします。

  • 専門領域の臨床医と情報交換を行い、臨床に意見を反映させる
  • 専門学会に参加して情報を収集する
  • 臨床開発計画やプロトコル、同意説明文書など新薬の臨床開発に必要な書類や計画書をチェックし、医師の観点からコメントする
  • 臨床データを解析し、厚生労働省への提出書類(製造承認申請資料など)を作成する
  • 治験実施中に副作用や事故が発生した場合の適切な指示・対応
  • 外資系企業の場合、海外の本社や支社に在籍する他のMDやスタッフと連絡を取り合い、新薬の開発状況や国内の医療状況などについて情報・意見交換を行う

MDは単に業務を遂行するだけではなくプロジェクトリーダーとして部署をまとめるケースもあり、部下の管理や評価、指導に関わる事も多々あります。単純に「仕事が出来ればそれで良い」と言うわけではないのです。

安全性情報部

新薬は臨床開発が終わり市場に投入された段階で、会社によるすべてのフォローが終わるわけではありません。臨床開発は新薬が発売された段階で終了ですが、その後、薬を服用された患者に副作用が出たり重篤な症状に陥るケースもあります。

100%副作用の出ない薬はこの世にありません。また市販された後に確認される副作用もあり、医学の専門知識をもつMDによる管理・対策が必要不可欠となっています。安全性情報部におけるMDの役割は以下の通りです。

  • 副作用などに関する自社製品の情報をまとめ、医薬品医療機器総合機構(PMDA)などに発信する
  • 医薬品の添付文書などに関する医学的な観点からのアドバイスを行い、不適切な点は変更する
  • 個々の症例などを参考に、自社製品の有害事象を予測し管理する
  • 安全性情報部のチームに対する、医学的専門知識をベースにした安全性教育実施
  • 自社製品の副作用を減らすための対策・周知

外資系の会社であれば社内での情報発信だけではなく、海外本社や支社とのやりとりも生じます。この際、英語を主体にしたメールや電話、ネットを使った会議、出張などのコミュニケーションが必要となるため、MDにとって英語力は必須と言えるでしょう。

メディカルアフェアーズ

せっかく苦労して新薬を臨床開発・発売しても、医療機関で薬を採用する医師に良く認知されないようでは(また間違った情報が拡散するようでは)困ります。新薬は薬そのものが医師の机の上にあっても意味がなく、正しい知識や認識が伴わなければ患者の役には立たないのです。

そこでマーケティング担当者などと協力し、自社製品の情報や最新の医学・薬学情報などを医療機関に提供する業務がメディカルアフェアーズ(MA)の主な仕事となります。ただしこの部門はまだ国内製薬会社ではしっかり確立されていない所も多いため、今後さらに業務の幅が広がりMAに従事するMDが増えるものと予測されます。

フレックスタイム制の職場も多く働きやすい

一般企業ではまだまだ馴染みのないフレックスタイム制ですが、MDの世界ではかなり広く浸透しています。このフレックスタイム制では、決まった期間(1か月など)の間にどれだけの時間働くかがあらかじめ決められています。

例えば1週間に40時間の労働が決まっているとしましょう。フレックスタイム制を導入していない企業では朝8時出社、午後5時退社など出勤・退社時刻が決まっているケースが多くなっています。

ところがフレックスタイム制採用の企業では「コアタイム」と呼ばれる「必ず出勤していなければならない時間帯」のみが決まっており、それ以外の時間帯は自由に出社・退社ができるようになっています。

もし朝早く起きて仕事を済ませてしまいたいMDなら、早朝6時から出社し15時で退社も可能です。また朝が弱い先生の場合は10時出勤で退社は19時でも構いません。MDの裁量で自由に出勤・退社時間が選べるため、特に子育て中の女性医師や親御さんの介護をしている先生などにとっては働きやすくなっています。

一般企業勤務ですから、土日や祝日も当然お休みです。

医療機関で働く医師から見ると、信じられないくらいの自由度と言えるでしょう。